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法律・判例情報

賃貸人の破産と賃貸借契約(賃借人側の立場)

 賃貸人が破産しても、対抗要件(*1)を備えている限り、破産を理由に賃貸借契約を解除されることはありません。(賃貸人の破産管財人に破産を理由とする一方的な解除権はありません。) 
 逆に言えば、賃貸借契約は継続しているわけですから、管財人に対して賃料を支払わなければなりません。支払をしなければ、債務不履行により管財人から解除され明渡しを求められてしまいます。

 なお、賃貸借契約の継続にともなう賃借人の賃貸人(破産者)に対する債権(たとえば貸室の修繕を求める権利など)は、財団債権(*2)となります。

    *1 対抗要件は、建物の賃貸借の場合は引渡しを受けていること、土地の場合はその
       土地上に賃借人名義の建物があること、です。
    *2 破産手続きによらず、優先的に支払がなされる権利です。金銭を請求する権利
       でないものも、金銭に評価されて弁済(支払)されることになります。

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「財産全部を相続させる」との遺言と遺留分算定時の相続債務

問題

 被相続人はA。相続人はAの子、BとC(2名)。
 相続財産は、資産が4億1000万円、債務が4億円あった。
 Aの遺言として、「財産全部をBに相続させる。」という内容のものがあった。

 Cは、Bに対して、遺留分減殺の請求をしたい。

 ・さて、Cは、自分の遺留分として、Bに対して、いくら主張できるのか?
 ・Cの遺留分侵害額はいくらか?

(数字などは、分かりやすくしています。)
(遺留分についての基本的な解説はこちら。)

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定期建物賃貸借の期間満了後における終了通知

1 問題 

    定期建物賃貸借契約において、賃貸人は、その期間満了の1年前から6ヶ月前の間
賃借人に対して、期間満了により契約が終了することを通知しなければなりません
(借地借家法38条4項)。

     この「期間満了の6ヶ月前」を経過して、賃貸人が賃借人に終了することを通知したとき
は、その通知から6ヶ月を経過すると、賃貸人は契約の終了したことを賃借人に主張する
ことができます(つまり、退去を請求できる。)(同法38条4項但書き)。

    では、「期間満了の6ヶ月前」を経過し、さらに期間満了日を経過してから、賃貸人が契約
の終了を通知した場合、その通知から6ヶ月を経過すると、賃貸人は、上の場合と同じように、
契約の終了を賃借人に主張できるのでしょうか?

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遺贈された不動産と担保権の被担保債権の弁済

事 例 

   遺言書に「○○の不動産をAに遺贈する。」とあった。(Aは相続人ではない。)
   ところで、対象不動産には抵当権が付いていて、その債務はまだ残っている。  

〔質問〕

1.誰が債務を弁済するのか?    
2.Aが弁済した場合、Aは相続人に何か請求できるか?    
3.相続人が弁済せず、抵当権が実行された場合、A(受遺者)は、相続人に何かいえるか?    
4.相続人が弁済した場合、Aに何か請求できるか?

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引渡命令

    不動産の買受人(競落人)が、競売によって所得した不動産に対する権利を迅速に確保する
ため、民事執行法には、引渡命令という制度が用意されています。  

    これは、簡単に言えば、
               競売手続終了後、競売不動産を、正当な権利なしに占有している者の占有を
    迅速に排除するための制度

です。  

    なお、申立ては買受人にのみ認められており、買受人から不動産を譲り受けた買主は申立て
をすることができません(ただし、買受人が引渡命令を裁判所から得た後に不動産を譲渡した
場合、買主が執行することは可能です。)。

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短期賃貸借と明渡猶予制度に関する具体例

具体例A:短期賃貸借として保護されるケース

※制度の解説については、こちら「賃借権と抵当権(短期賃貸借と明渡猶予制度)」

     平成10年10月10日 抵当権設定登記
     平成15年1月15日 契約(期間3年)・引渡し
     平成18年1月15日 更新(期間3年)
     平成21年1月15日 更新(期間3年)
     平成21年9月19日 抵当権実行による差押え
     平成22年12月15日 買受人による代金納付(所有権移転)

  この場合、平成21年1月15日の更新は差押え前ですから、短期賃貸借として認められます
  つまり、期間3年の契約ですから、平成21年1月15日からの3年間である平成24年1月14日
  まで契約は存続する(その日までは退去しなくて良い)ということになります。

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賃借権と抵当権(短期賃貸借と明渡猶予制度)

第1 抵当権と賃借権の優劣

 抵当権の実行による不動産の競売の場合に、その不動産の賃借人が競落人(買受人)に
対して賃借権を主張することができるか=賃借権を対抗できるか(つまり、競売の後も継続
して借り続けることができるか)という問題です。
 なお、土地を含めるとやや複雑になるので、ここでは建物ということを前提に考えます。

 これは、「対抗要件の先後」で判断されます。
 つまり、賃貸借契約を締結して引渡しを受けた(鍵を受け取った)日と抵当権の設定登記が
された日と、どちらが早いかで決まる(早いほうが優先する)ということです。

 賃貸借契約を締結して引渡しを受けたのが、抵当権の登記よりも早ければ、賃借人は
買受人に対しても賃借権を主張して従前と同様に借り続けることができます。

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特別受益の具体例

配偶者Aと子供BC2人、合計3人が相続人 。

Bは被相続人から生計の資本として1000万円の生前贈与を受けた。

Cは500万円の遺贈を受けた。

相続財産は5000万円。

  というケースでは・・・

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特別受益

1 特別受益とは何か

   相続人の中に、被相続人から生前に財産を贈与されていた者がいた場合に、それを考慮
 せずに遺産を分けると、生前贈与を受けていた者が他の相続人よりも多くの財産を得ること
 になり、そのままでは不公平です。   

   そこで、民法では、被相続人から相続人に対する遺贈(遺言によって譲ること)と一定
 の生前贈与について、「相続分の前渡し」と考え、遺産分割の際にこれを清算する制度が定め
 られています。   

   民法上、「相続分の前渡し」ととらえられる贈与や遺贈を「特別受益」と呼びます。  
   そして、特別受益を受けた相続人を「特別受益者」といいます。

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賃借人の民事再生と賃貸借契約(賃貸人の立場)

  賃借人(再生債務者)は、賃貸借契約を解除するか契約を継続するか選択することができます。

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