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共同相続人間の遺留分減殺請求
複数の相続人に対する遺贈又は相続させる旨の遺言により、一人又は一部の相続人の遺留分が侵害された場合、その遺留分を侵害された相続人が行使する遺留分減殺請求の対象は、他の相続人に対する遺贈又は相続させる旨の遺言の目的物の価額のうち、遺留分を超える部分のみ、です。
(最高裁判決平成10年2月26日)
つまり、遺留分に満たない価額の財産のみ遺贈を受けた相続人は、遺留分侵害請求の対象とはなりません。

住所のみにより特定された「不動産」の遺贈の対象
住所のみにより特定された「不動産」の遺贈の対象
遺言には、いわゆる住居表示(住所)が記載され、その「不動産」を「Xに遺贈する」とされていた。
その住居表示(住所)は、土地の地番や建物の家屋番号とは異なる。
当該遺言における「不動産」が「建物」のみを意味するのか、「土地及び建物」の両者を意味するのか、という解釈について、相続人間で争いになった。

第一相続人に姪を指定する旨の遺言の効力
第一相続人に姪を指定する旨の遺言の効力
遺言書において、
「第一相続人A(姪)を指定 第二相続人B(Aとは別の姪)を指定」
「家の再こうをお願いします」
といった記載があった。
なお、遺言者は、Aとの養子縁組を希望しており、遺言書の前後から死亡の直前に至るまで、数度にわたり、Aとの養子縁組ついてAに打診したが、Aに拒否され、成立しなかった。
また、Bとの養子縁組についても、交渉があったが、実現しなかった。
Aは、「第一相続人Aを指定」の文言は、Aにすべての遺産を遺贈する趣旨であると主張した。

「相続させる」旨の遺言によって遺産を取得することとされた相続人が遺言者より先に死亡した場合(代襲相続の可否)
相続人Aに不動産・預貯金等を「相続させる」との遺言が作成された後、被相続人(遺言者)より先に相続人Aが死亡した場合、相続人Aの子Bは、上記「相続させる」遺言(遺産分割方法の指定)を代襲相続するでしょうか。

受遺者が取得する財産の価額の決定を遺言執行者に委ねる遺言は有効か
要旨、「Aに3000万円から5000万円を相続させ、BとCには、特定の不動産と金銭を遺贈する。それぞれの取得額の決定を遺言執行者(弁護士)に委ねる。」との遺言は、有効となるでしょうか。

共同相続人の一人に財産の分配方法を一任する内容の遺言は有効か
「財産の分配は、長男Aに一任する。」という内容の遺言について、長男に対し、他の共同相続人が遺言無効確認の訴えを起こしました。
上記のように、共同相続人の一人に財産の分配方法を一任する内容の遺言は、有効でしょうか。

遺言執行者に受遺者の選定を委ねる遺言は有効か
遺言執行者に受遺者の選定を委ねる遺言は有効か
遺言執行者を指定し、なおかつ、「遺産の全部を公共に寄与する。」との趣旨の記載のある遺言は、どのように解釈すべきでしょうか。

推定相続人が遺言者より前に死亡した場合の遺言書の効力
事例
1 B及びXは、いずれもAの子であり、YらはいずれもBの子である。
2 Aは、平成5年2月17日、Aの所有に係る財産全部をBに相続させる旨を記載した条項及び遺言執行者の指定に係る条項の2か条からなる公正証書遺言をした。本件遺言は、Aの遺産全部をBに単独で相続させる旨の遺産分割の方法を指定するもので、当該遺産がAの死亡の時に直ちに相続によりBに承継される効力を有するものである。
3 Bは、平成18年6月21日に死亡し、その後、Aが同年9月23日に死亡した。
4 XがAの遺産につき法定相続分に相当する持分を取得したと主張して、Yら=Bの子=Aの代襲相続人らに対し、Aがその死亡時に持分を有していた不動産につきXが法定相続分に相当する持分を有することの確認訴訟を提起した。
Xの請求は認められるか?/それとも、Yらの代襲相続は認められるか?

遺産を確保(保全)する方法
遺産分割協議が成立(終了)する前に、特定の相続人によって遺産が処分され、消失してしまうと、他の相続人の権利が害され、また、協議も無駄となってしまい、取り返しのつかないことになりかねません。
では、そのような事態を避けるため、遺産の消失を防止するには、どのような方法があるでしょうか。
