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遺言で指名された相続人が遺言者より先に死亡した場合の代襲相続

代襲相続

  まず、代襲相続とは、相続が発生したときに、本来であれば相続人になるはずの人が
 被相続人よりも先に死亡していた場合などに、その子や孫が代わって相続することをいい
 ます。   

  たとえば、Aの相続人として、子が2人B、Cといたが、BがAよりも先に死亡し、
 Bの相続人として子DとEいた場合、Aが死亡すると、
 Aの相続人は、子Cと、Bの子(Aから見ると孫)D、Eの3人になります。

事例

  では、上記の設定において、
 Aが遺言で、「全ての財産を子Bに相続させる。」と書いていたが、BがAよりも先に
 死亡した場合、Bの子D、Eは、全ての財産をBに代わって代襲相続できるのでしょうか?

東京高裁 裁判例

   このような事例で、東京高等裁判所は、
 遺産分割方法の指定と法定相続分による相続とは、法的性質は同じであるとして、 
 「相続させる」旨の遺言の場合にも代襲相続の規定の適用を認めました。   

  つまり、上記の例でいえば、Aよりも先に死亡したAの子Bの子DとEは、Bの地位を承継
 し、「全ての財産」を相続することになるわけです。
 (東京高判平18・6・29)  

最高裁判例   

  しかし、最高裁判所は、これと異なる判断をしました。

 「相続させる」との遺言は、遺贈と解釈できるような特別の事情がない限りは、その名宛人
 になった相続人(相続させると指名された人)だけに有効
なのだ、 
 ということです。(最判平3・4・19)   

  つまり、上記の例では、Aよりも先に、遺言で「相続させる」と指名されたBが死亡する
 と、その遺言は効力を失うことになります。

  では、その後はどうなるかというと、遺言がない状態になりますから、最初に示した
 とおり、
 相続人は、Aの子であるCと、Aの子だがAよりも先に死亡したBの子D、Eの3人になり、
 法定相続分での相続になるので、
 Cが2分の1、DとEは各4分の1の相続分で、遺産分割の協議をすることになる、
 というわけです。

掲載日:2011年10月15日
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