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担保権に優先する賃借権者が実行された抵当権の債務者である場合の引渡命令の可否

最先順位の担保権に優先する(対抗できる)賃借権(最先の賃借権)を有する賃借人(最先賃借人)が実行された抵当権の債務者(抵当債務者)である場合、賃借権は保護されるのでしょうか。それとも、引渡命令の対象となるのでしょうか。

解答

賃借権は保護されず、引渡命令の対象となります。

(最高裁決定平成13年1月25日 判例時報1740号41ページ、判例タイムズ1103号48ページ)

理由

(最高裁決定の要旨)

競売が実行された不動産が自らの債務の担保となっており、かつ、自らの債務の不履行によって、当該不動産の競売が実行され、競売による売却代金から、自らの債務の弁済がなされるような立場にある者に賃借権を認めると、担保権者と担保提供した所有者の利益を害することになり、信義則に反する。したがって、そのような立場の賃借人は、競売による買受人に賃借権を対抗できない。

掲載日:2016年7月19日
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