NY出張
ニューヨーク出張
2015年8月14日、ニューヨークの弁護士とミーティングをしてきました。
事務所は、マンハッタンのど真ん中に位置する「Phillips Nizer LLP」、先方の担当弁護士は、事務所パートナーのRichard J. Duffy氏です。
http://www.phillipsnizer.com/about/index.cfm
http://www.phillipsnizer.com/attorneys/duffyrich_bio.cfm
ニューヨークの資産についてのエステート・プランニング
今回は、紛争事案の対応ではなく、ニューヨーク州に資産を保有する日本人資産家のエステート・プランニングが主題でした。
エステート・プランニング(Estate Planning)とは、来るべき相続の発生を前提に、税金や手続費用を含めて様々な角度から資産の維持・最大化(ロスの最小化)を検討し、生前贈与や財産の信託化を含め、資産全般について、そのあり方を検討するというものです。
アメリカの相続制度と信託
アメリカでは、相続の制度が日本と異なります。
日本では、被相続人の死亡と同時に相続が発生し、遺言書がない場合、相続財産(遺産)は、プラス(資産)もマイナス(債務)も含め、原則として相続人の共有財産となり、相続税は相続人が納付することになります。
これに対して、アメリカでは、州によって手続や相続人の範囲等で差異があるものの、基本的に、被相続人の死亡によって相続は開始せず、裁判所の管理下において、プロベート(Probate)と呼ばれる公的な手続(検認裁判とも呼ばれます。)によって、資産と債務の清算が行われ、遺産税(Federal Tax, State Tax)を納めたうえで、残った財産が相続人に分配されることになります。
この手続は煩雑であり、時間もかかります。
遺言書を作成することによって、時間的・費用的な負担を減らすことはできますが、遺言書のみでは、プロベートを回避することはできません。
そこで、生前信託の方法が有用とされています。
Pour-over will(注ぎ込み遺言)
信託を組成した場合でも、遺言書は作成しておきます。すなわち、「Pour-over will」(注ぎ込み遺言)と呼ばれるもので、「I give all my property to the Trustee of the trust.」と書いておきます。
これを準備しておくことで、亡くなる前に信託に入れ忘れた財産があったとしても、プロベイトの手続をとらずに済みます。