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短期賃貸借と明渡猶予制度に関する具体例

具体例A:短期賃貸借として保護されるケース

※制度の解説については、こちら「賃借権と抵当権(短期賃貸借と明渡猶予制度)」

     平成10年10月10日 抵当権設定登記
     平成15年1月15日 契約(期間3年)・引渡し
     平成18年1月15日 更新(期間3年)
     平成21年1月15日 更新(期間3年)
     平成21年9月19日 抵当権実行による差押え
     平成22年12月15日 買受人による代金納付(所有権移転)

  この場合、平成21年1月15日の更新は差押え前ですから、短期賃貸借として認められます
  つまり、期間3年の契約ですから、平成21年1月15日からの3年間である平成24年1月14日
  まで契約は存続する(その日までは退去しなくて良い)ということになります。

具体例B:短期賃貸借として保護されないケース(差押え後の更新)

     平成10年10月10日 抵当権設定登記
     平成13年1月15日 契約(期間3年)・引渡し
     平成16年1月15日 更新(期間3年)
     平成19年1月15日 更新(期間3年)
     平成21年9月19日 抵当権実行による差押え
     平成22年1月15日 更新
     平成22年12月15日 買受人による代金納付(所有権移転)

  この場合、平成22年1月15日の更新は、差押え後になされたものですから買受人には対抗でき
  ません。
      したがって短期賃貸借としての保護は受けられません。したがって、買受人には賃借権を
  対抗できないので、直ちに明け渡すべき法的義務が発生します(引渡命令の対象になります)。

具体例C:短期賃貸借として保護されるが、引渡命令の対象にもなるケース

             平成10年10月10日 抵当権設定登記
             平成15年1月15日 契約(期間2年)・引渡し
             平成17年1月15日 更新(期間2年)
             平成19年1月15日 更新(期間2年)
             平成21年1月15日 更新期間2年=平成23年1月14日まで
             平成21年9月19日 抵当権実行による差押え
             平成22年12月15日 買受人による代金納付(所有権移転)

  この場合、平成21年1月15日の更新は差押え前ですから、短期賃貸借として認められます。
  しかし、期間2年ですから、期間満了は平成23年1月14日となり、買受後の残存期間は1ヶ月
  しかない、ということになります(平成23年1月15日を過ぎると、引渡命令の対象になりま
  す。)
(最決平成12年6月23日第二小法廷)。 

掲載日:2011年10月16日
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