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遺贈された不動産と担保権の被担保債権の弁済

事 例 

   遺言書に「○○の不動産をAに遺贈する。」とあった。(Aは相続人ではない。)
   ところで、対象不動産には抵当権が付いていて、その債務はまだ残っている。  

〔質問〕

1.誰が債務を弁済するのか?    
2.Aが弁済した場合、Aは相続人に何か請求できるか?    
3.相続人が弁済せず、抵当権が実行された場合、A(受遺者)は、相続人に何かいえるか?    
4.相続人が弁済した場合、Aに何か請求できるか?

回 答

1.  不動産が遺贈されても、債務の帰属(債務者)には変更がありません。
  したがって、(相続放棄しない限り)相続人は、債権者に対して支払うべき責任を負って
  いることになります。 
    逆に、不動産遺贈を受けただけのAは、債務とは無関係ですから、債権者に弁済する
  義務はありません。
2.   Aが相続人にかわって債権者に支払った場合、Aは、その支払分を相続人に求償する
     権利があります。つまり、「本来、あなたが支払義務を負っているものを、私が立て替えて
     払ったから、その分を私に支払ってください」ということです。
3.    相続人が債権者に支払わず、Aも支払わなかったため、債権者が抵当権を実行し、競売
     で第三者の所有となってしまった(Aが所有権を失ってしまった)場合、Aは、やはり相続
  人に対し、求償することができます。
4.    相続人が弁済しても、Aに対しては何も請求できません。   

        なお、相続人が相続放棄した場合、また、「負担付き遺贈」であった場合、結論は変わ
  る可能性があります。

掲載日:2011年10月17日
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