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アメリカの相続制度と信託

アメリカの相続制度と信託

アメリカでは、相続の制度が日本と異なります。


日本では、被相続人の死亡と同時に相続が発生し、遺言書がない場合、相続財産(遺産)は、プラス(資産)もマイナス(債務)も含め、原則として相続人の共有財産となり、相続税は相続人が納付することになります。

これに対して、アメリカでは、州によって手続や相続人の範囲等で差異があるものの、基本的に、被相続人の死亡によって相続は開始せず、裁判所の管理下において、プロベート(Probate)と呼ばれる公的な手続(検認裁判とも呼ばれます。)によって、資産と債務の清算が行われ、遺産税(Federal Tax, State Tax)を納めたうえで、残った財産が相続人に分配されることになります。
この手続は煩雑であり、時間もかかります。

遺言書を作成することによって、時間的・費用的な負担を減らすことはできますが、遺言書のみでは、プロベートを回避することはできません。

そこで、生前信託の方法が有用とされています。

Pour-over will(注ぎ込み遺言)

信託を組成した場合でも、遺言書は作成しておきます。すなわち、「Pour-over will」(注ぎ込み遺言)と呼ばれるもので、「I give all my property to the Trustee of the trust.」と書いておきます。

これを準備しておくことで、亡くなる前に信託に入れ忘れた財産があったとしても、プロベイトの手続をとらずに済みます。

PODアカウント(Payable-on-Death account)

預金口座については、「死亡時受取人指定口座」(Payable-on-Death account)とすることで、プロベイトの手続を回避することが可能です。
すなわち、銀行に対し、「私が死亡したら、この人に預金の払戻しをしてください。」という指図を、予めしておく方法です。

ただ、銀行によっては、PODの設定を認めてくれない場合もあります。

掲載日:2018年4月28日
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